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私は授業でよく『お風呂掃除』の話をする。保護者が子どもにお風呂掃除を頼むという、どの家庭でもよく見られる光景である。
保護者「お風呂掃除しておいてね。」
子ども「…わかった。」
(10分後)
保護者「お風呂掃除してくれた?」
子ども「今からするよ!」
(さらに5分後)
保護者「まだやってないでしょ!早くしなさい。」
子ども「うるさいな。分かってるよ!」
(さらに5分後)
保護者「お風呂○!※□◇#△!◎△$♪×¥●&%#?!」(怒)
子ども「もうやんねーよー!うるせーよ!◎△○!◇#△!◎△$△¥×!」(怒)
保護者「いいからしなさい!しないと△!◎○!※□◇#△!◎△!」(怒) (怒)
子ども「…(渋々やる。小さい子どもなら泣きながらやる)」
最後には、涙を流す事態にまで発展することがある。しかし、考えてみてほしい。これはそんな難しい話だろうか。そんなはずはない。ただの『お風呂掃除』である。それなに、この騒動は何なのだろう。
『わかる人』はこうなることを予測できる。そして、『最後』にダメな人扱いや子ども扱いされるのが恥ずかしくて嫌なので、『先』に動くのだ。最初の10分で『お風呂掃除』をしていれば、10分後には「ありがとう」という言葉をかけられるだけなのだ。お互い、気持ちよく過ごせる。
お互い嫌な思いもせずに解決する方法があるにもかかわらず、アンテナを張っていないとお互いにとって嫌な思いをする。もっとも『わかる人』は保護者が『お風呂掃除』を頼むことを予測し、その前にしておく。頼まれたときには笑顔で「お風呂はもうピカピカさ!」とかいうのである。
『でも面倒なんだよなー』と思うかもしれない。ここで重要な視点は、どちらにしても最後には『お風呂掃除』をするということだ。先にやるか、後でやるかの違いだけである。先にやれば「ありがとう!」、後でやれば「いいからしなさい!しないと△!◎○!※□◇#△!◎△!」となる。
どちらを選ぶかは自由だ。しかし、この場合はどちらがいいのかは、誰が考えても答えは明白だ。日常起こる些細な問題は、実はちょっと自分の動きを変えるだけ解決できることも多いのだ。